ローラのゴールドラッシュローラはちょうど学校でゴールドラッシュについて勉強しているところで、砂金の収集に関する知識も、歴史の教科書から得たものでした。アメリカ合衆国は1848年にメキシコとの戦いに勝利しカリフォルニアを獲得していますが、それと同じ年にカリフォルニアで金鉱が発見されて移民が殺到し、いわゆるゴールドラッシュが起きたのです。ローラが生まれる約20年前のことです。ゴールドラッシュは東海岸と西海岸を結ぶ大陸横断鉄道の完成(1869)を促し、1890年代のフロンティアの消滅へ向けて、いわゆる西部の開拓を一気に加速させていくことになります。なお、ビートゥル先生はジョン・サッター(John Sutter)という実在の人物の名を挙げながらゴールドラッシュに伴う悲劇について言及していますが、このへんのことについてはこちらをご参照ください。 ローラが金と勘違いした黄鉄鉱は普通"iron pyrites"と呼ばれますが、"fool's gold"と言われることもあります。(番組では"fool's gold"で呼ばれていたような・・・) ランダムハウス英和大辞典(小学館)によると、"fool's gold"の初出は1872年、ローラがミネソタのプラム・クリークに移り住む前の年のことです。(29 Nov '99) →目次へ戻る 生活の厳しさは?とうさんは山の方へ数日がかりの狩りに出かけ、ローラもせがんでそれについて行きます。お昼ご飯を食べている時、ローラが誤って倒した拍子に立て掛けてあった鉄砲が発砲し、とうさんは重症を負ってしまいます。ローラは必死の思いでとうさんを森番の小屋まで連れて行きますが、そこにいたのは目の見えないサムおじいさんだけでした。山道は始めてのローラは嫌がるサムおじさんを説得し、ふもとまでエドワーズさんを迎えに行きます。エドワーズさんはお医者さんを連れて森番の小屋へ行き、とうさんは何とか助かるのでした。 原作にはないこのエピソードは、目が見えないことと恐らく老齢で何に対しても臆病になってしまったサムおじさんが、とうさんの命を救うのに貢献することで自分自身の存在意義を見出すとても感動的な話なのですが、でも、どうしても「?」と思ってしまうのは、とうさんがローラを狩りに連れて行ったのと、弾を込めたままの鉄砲をローラの手元に立て掛けておいたことについてです。 男の子だから狩りに連れて行ってもらえるとか、女の子だから家にいないといけない、ということの善し悪しは別として、狩りに連れて行くのであれば、事前に鉄砲の扱いや非常時の対処についてそれなりの教育を受けているはずでしょう。また、マイケル・ランドン氏扮するとうさんも認めていることですが、弾を込めたままの鉄砲を無用心に子供の傍に立て掛けておいたりしないでしょう。 時々感じることですが、アメリカNBCテレビの『大草原の小さな家』は、原作に垣間見られる開拓時代の生活の厳しさよりも、生き方や存在意義に関する現在的な問題を「小さな家」という設定を借りて視聴者に見せていると言えそうです。(8 Oct '99) →目次へ戻る プラム・クリークのクリスマス原作『プラム・クリークの土手で』(On the Banks of Prum Creek)でインガルス家に料理用ストーブが来たのは、とうさんが板張りの家を建てた時(16-17章)で、クリスマスのプレゼントではありません。しかし、かあさんを驚かせようとみんながストーブのことを秘密にしていたのは同じです。かあさんは新しい家に入り、ストーブを一目見るなり、「あっと口をあけ、またとじます。それから、やっとでるような声で ・・・ いいました。『どうして、まあ!』」 ガース・ウィリアムズが描いたこのストーブのイラストを、私は子供の頃それは気に入っていて、何度も描き写したものです。 原作の「プラム・クリークのクリスマス」として思い出されるのは、とうさんが吹雪の中でカキのクラッカー(oyster crackers)とキャンディを食べながら三日三晩飢えを偲んで家に戻ったその日がイブだった・・・そのクリスマスです。とうさんはクリスマスのご馳走としてカキ(oyster)の缶詰を持ち帰ります。しかし一家は本当にいろいろなところで、それもお祝いごとによくカキを食べています。東部の海岸かどこかで採れたカキが缶詰になって鉄道で西部まで輸送されていたのでしょうか。また、カキのクラッカーとはいったいどんなものなのでしょう。※ 「小さな家」のクリスマスとして、他に印象深いのは、ウィスコンシンの「大きな森」のクリスマスと「大草原」のクリスマスです。「大きな森」では、クリスマスのご馳走にと、フライパンいっぱいに雪を敷き詰めた中に、熱したメーブルシロップを流し入れて作るキャンディが美味しそうでした。「大草原」では、エドワーズさんがインディペンデンスでサンタ・クロースに会い、メアリーとローラのためのプレゼントを預かってくる(NBCのテレビでも同様)というのも楽しいのですが、かあさんが二人のために作ったお砂糖を振り掛けたハート型のクッキーが美味しそうで、真っ白できめの細かいさっくりしたクッキーなのだろうなと想像したものです。というわけで、印象に残っているのは、クリスマスというよりも、クリスマスのご馳走でした。(2 Aug '99) ※ このページを見てくださった緑さんからのご指摘をもとに、「小さな家」シリーズでインガルス一家がカキを食べる場面をまとめてたりしてみました(2 Feb '00)。こちらです。 →目次へ戻る チャールズ・フレデリックの死チャールズ・フレデリックの誕生と死を描いたテレビシリーズのタイトルは "The God is my Shepherd"。直訳すれば、「主は我が牧者なり」といったところでしょうか。これは旧約聖書、詩篇23章の冒頭で、お葬式に用いられる詩です。マンケートの病院でチャールズ・フレデリックが亡くなった時、とうさんとかあさんは、悲しみをこらえながら、この句で始まる一節を口ずさんでいます。なお、NHKが付けた邦題は、「ローラの祈り」でした。 ローラの長男が生後名前も付けられないうちに亡くなってしまったことは、『はじめの四年間』(The First Four Years)、第4章「恵みの年」で言及されていますが、ローラの娘のローズも生まれたばかりの長男を亡くしています。乳児死亡率が高かったということもあるのかもしれませんが、母娘三代に渡って男の子を亡くしているということに、何となく因縁じみたものを感じてしまいます。(改訂:13 Jul '99) →目次へ戻る ウォールナット・グローブの教会の鐘NBCのテレビ・シリーズで、教会の鐘のために奮闘するのは、子供達と、耳の不自由な金物職人のジョーンズおじさんです。鐘を寄付するという雑貨屋のオルソンさんに賛成する人達と、みんなの教会の鐘はみんなで手に入れるべきだとする人達との間で、ウォールナット・グローブを二分する争いが起きます。この事態を悲しく思ったジョーンズおじさんが、子供達に呼びかけて、みんなで力を合わせて、鐘を造るのです。 原作に登場する金物職人で思い出されるのは、『農場の少年』(Farmer Boy)12章「金物行商人」に登場する陽気なニック・ブラウンです。ニックは冬の間に商品を作り、春になると、色とりどりの馬車(カート)で金物を売り歩きます。ニックは行く先々で聞いた話を面白おかしく聞かせてくれるので、アルマンゾを始め誰もが彼はやって来るのを楽しみにしているのです。 テレビドラマ・シリーズのジョーンズおじさんは、耳が聞こえず、口がきけないというある種のハンディーキャップのために、大人達の争いごとに組することなく、子供のように純粋に、教会には鐘があった方がいいと考えます。そんなジョーンズおじさんの言葉ではない呼びかけに、子供達は素直に応じ、鐘の材料にするために大切なブリキのおもちゃを差し出すのです。 このエピソードには "The Voice of Tinker Jones"(直訳すれば、「金物職人、ジョーンズの声」。NHKの邦題は「ジョーンズおじさんの鐘」)というタイトルが付けられています。一般にいわれるハンディーキャップを肯定的にとらえよう、という教訓的な意図と、ハンディーキャップのある人ほど神様の近くにいるのだという、キリスト教的な考え方の暗示の両方があるように思われます。失明したメアリーはアイオアの盲人学校へ行ったのが事実だったと知った時(cf.These Happy Golden Years[『この楽しき日々』])、いわゆる開拓時代のアメリカ西部に目の見えない人の学校があったなんて、と感動したものです。身体的なハンデを持った人物として、テレビシリーズには、左右の脚の長さが違う女の子オルガが登場します。(「オルガの靴」の回) 原作(『プラム・クリークの土手で』)で教会の鐘が人々に披露されるのはクリスマスの日のことです。ローラが始めてクリスマス・ツリーを見た日でもありました。(第31章「思いがけないこと」)(11 Jul '99) →目次へ戻る |