独立行政法人国立高等専門学校機構 宇部工業高等専門学校

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令和元年度卒業式式辞

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本日、本科卒業式ならびに専攻科修了式を迎えられた皆さん、ご卒業おめでとうございます。これまでの皆さんの努力が本日、実を結びました。心からお祝いを申し上げます。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、例年とは異なる形で規模を縮小しての開催となりましたが、本日、卒業・修了式を挙行することができましたことは、本校教職員にとりましても大きな慶びです。残念ながら御列席いただくことは叶いませんでしたが、これまで皆さんを支え、励ましてこられた御家族の皆様や多くのご支援をいただいた関係者の皆様に敬意と感謝の意を表します。

今年度は本科生202名が卒業し、専攻科生25名が修了しました。令和に入って最初の卒業生・修了生として本校を巣立つことになります。
皆さんは、本校での5年間、或いは7年間の学生生活において、多くの先生や友人と出会いました。勉学や研究、クラブ活動に熱心に取り組み、高専祭、クラスマッチの他、ロボコンやプレコンなどにもチャレンジしました。寮生活を経験した人もいます。 本日の卒業式を迎え、本校での学生生活に様々な思いを巡らせていることと思います。
十代後半の多感な時期に得たこれらの経験は、皆さんにとって楽しい思い出だけではなかったかもしれませんが、皆さんをここまで立派に成長させただけでなく、これから長い人生を歩んでいくための大きな財産となることでしょう。

宇部高専の卒業生は、就職・進学先の企業や大学から高い評価を得ています。皆さんは、専門知識を習得しているのみならず、実践力や論理的な思考、課題に取り組む姿勢を備えています。自信をもって新しいステージに進んでいってください。そして、様々な分野で活躍する先輩方が築いた本校卒業生の社会的な信頼と実績を引き継いでほしいと願います。

本校を巣立つ皆さんに、心に留めておいて欲しいことを三つお話ししたいと思います。
一つ目は、これからも学び続けることです。
皆さんは本校で学び、実践を通して学ぶことの意味も理解したことと思います。そして、これからが本格的な学びのスタートです。
社会人として必要なノウハウや高度な専門知識を身に着けることは勿論のこと、政治や経済、社会問題にも目を向けてください。社会人になれば行動を制約されることもなくなり、楽しみも増えることと思いますが、最初の2、3年が肝心です。日々の忙しさに流されず、学ぶ習慣をつけてください。それができるか否かで将来を左右する大きな差が生じます。
新しい環境に慣れたら、まずは目標を立てましょう。必要な資格を取る、或いは、尊敬する先輩や上司を目標にするのもいいでしょう。そして、そのために何をすればよいかを考え、実行することです。
これからの時代は技術革新が急激に進み、社会のシステムが大きく変化することでしょう。世界情勢にも変化の激しい現在、この先に何があり、どうすべきかを教えてくれる人はいません。自ら学び自ら考えるしかありません。
皆さんは、社会の中で学び続ける姿を後に続く人にも示し、新しい時代を切り開いてほしいと思います。

二つ目は、自分一人で悩まないことです。
皆さんが今後、仕事や研究に携わる中で、壁に突き当たることや挫けそうになることもあるかもしれません。職場の雰囲気に馴染めない、人間関係がうまくいかない、或いは、仕事の内容が想像していたことと違う、自分に合っていないなど、こういった悩みは、多かれ少なかれ誰しもが経験することです。
大切なことは、自分一人で悩まないことです。自分で抱え込んでしまっては、我慢するかその状況から逃れるといった結論にしかなりません。
周りの人に助けを求めることをためらわないでください。信頼できる上司や先輩、友人、家族に相談し、多くのアドバイスを受けてください。職場の問題であれば、必ず助けてくれる人がいるはずです。仕事の内容であれば、その経験が自分の将来に役立つことが分からないだけかもしれません。多くの意見を聞いて、冷静に客観的に自分を見つめることが必要です。その過程を経た結論であれば、進路を変えることも選択肢の一つであると思います。
そのためにも、本校で得た友人を大切にしてください。学生時代の友人は遠慮なくアドバイスをくれる一生の友人になります。
社会の一線で活躍している人たちも、同じように悩みを抱え、それを克服して現在があります。人に頼ることができる人が頼りになる人になります。皆さんも人の痛みがわかる頼りにされる社会人になってください。

三つ目は、チャレンジし続けることです。
宇部高専の特色の一つは、学生の自主性を重んじ、様々なことにチャレンジする機会を設けていることです。多くの皆さんが積極的に参加してくれました。熱心に取り組んだ人は、その結果如何にかかわらず充実感が得られたのではないかと思います。特に、インターンシップ、地域教育、海外留学などの経験は、外の世界を知る貴重な機会となったのでないでしょうか。
これから社会に出る皆さんには、多くの人々との出会いがあります。行動範囲も必然的に広がっていくことでしょう。一方で、皆さんに与えられる世界は、同じような価値観を持つ限られた世界なのかも知れません。その更に外には考え方や行動が大きく異なる世界があります。その世界を知るためには、いろいろなことに自ら積極的にチャレンジすることをお勧めします。自分の業務やキャリアに関わる分野に限らず、スポーツや趣味でも構いません。
チャレンジすることによって、多様な考えを持つ幅広い人々と出会い、今まで気が付かなかった自分自身の適性や興味を知ることになるかも知れません。生きがいを見つけ、人生の目標が変わるかもしれません。
皆さんの将来には無限の可能性があります。皆さんの人生は、一人ひとりが自分の人生をどう考え、どう行動するかにかかっています。

宇部高専は、これからも皆さんを見守り続けます。皆さんの健康と今後の活躍、そして輝かしい未来を心より祈念し、私の式辞といたします。

令和2年3月24日
宇部工業高等専門学校 校長 山川昌男

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