独立行政法人国立高等専門学校機構 宇部工業高等専門学校

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vol.8 岡本 昌幸 准教授

vol.8 岡本 昌幸


電気工学科 准教授

 

 

学位 博士(工学)
専門分野 電気工学(パワーエレクトロニクス)

電気の「かたち」を変える技術

直流と交流 −電気の「かたち」−

電気の種類は大雑把に区別すると、直流と交流に分けることが出来ます。時間が経ってもずっとプラス(あるいは、ずっとマイナス)の電気が直流、時間とともにプラス、マイナス、プラスと符号が絶えず変化する電気が交流です。家庭用のコンセントから得られる電気は(西日本では)60Hzの交流なので、1秒間に60回、プラスとマイナスに変化します。

ところで、同じ直流でも大きさが違ったり、交流では大きさだけでなく、プラスとマイナスの変化の速さが違ったりします。これは何故でしょうか?この理由は、身の回りにある電気製品は、その製品が動くために必要な電気が直流であったり、交流であったり、さらには大きさも異なるからです。例えばスマートフォンでは、充電するためにアダプターを繋ぎますね。このとき、アダプターではコンセントから得られる100Vの交流の電気を5Vの直流に変えています。そして、スマートフォン内部の充電池に蓄えられた直流の電気はCPU(中央演算装置)、ディスプレイを表示させる装置、ディスプレイを光らせる装置(バックライト)、スピーカーを鳴らす装置、電波を送受信する装置などを動かすために、全て異なるかたちの電気に変えられます。

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直流の「かたち」

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交流の「かたち」

電気の「かたち」を変えるパワーエレクトロニクス

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電気のかたちを変えるためには、半導体スイッチ(ダイオードやトランジスタ)と呼ばれる素子と、受動素子(コンデンサやコイル)が必要です。これらをうまく組み合わせて回路を作り、マイコンを使って半導体スイッチを上手にコントロールすることで交流を直流に変えたり、直流を交流に変えたり、それらの大きさを自由に変えることができます。専門的な言葉では電力変換と言いますが、これはパワーエレクトロニクスと呼ばれる技術の一つです。最近では、あらゆる電気機器にパワーエレクトロニクスの技術が使われ、電気機器の性能は飛躍的に向上しています。

ところで、スマートフォンを充電しているとアダプターが熱くなることを経験したことはありませんか?また、IHクッキングヒーターを使っていると、温めているのは鍋のはずなのにIHクッキングヒーターの中の方でファンが回っている音を聞いたことはありませんか?これは、電気のかたちを変えるとき、半導体スイッチや受動素子が熱くなるためです。つまり、コンセントから100の電気が得られたとして、電気機器で本来の目的に使われる電気は90くらいで、残りの10は熱になって空気中に捨てられているのです。そのため、熱となって捨てられる10の電気をいかに少なくするかがパワーエレクトロニクスにおける課題の1つとなっています。

究極の省エネを目指して

パワーエレクトロニクスの技術により、電気のかたちを変える際の熱の発生を減らすことができれば、それだけ電気機器の省エネ性能がアップすることになります。岡本研究室では、GaN(窒化ガリウム)トランジスタという新しい半導体スイッチを使ってできるだけ熱くならない省エネ電力変換を目指し学生とともに研究を行っています。GaNトランジスタは従来のトランジスタに比べ、とても速くスイッチのオン・オフができることと、熱の発生が少ないという特長があることから、省エネの切り札として期待が高まっています。その一方で、スイッチのコントロールが難しいことや、オン・オフのスピードが速すぎるため回路の設計が難しいなどの問題があります。これらの問題を一歩一歩解決しながら究極の省エネを目指して行きたいと思っています!

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インバータ(直流⇒交流)

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非接触給電用13,560,000Hzアンプ

電気に関する日本の常識と世界の常識

一番最近の停電がいつだったか覚えていますか?たまに停電すると、お父さんがごそごそとロウソクを探して、子供たちはワクワクして・・・、でも直ぐに電気の明かりが戻り、何事も無かったかのように元の生活に戻るでしょう。日本では、誰もが当たり前のように、いつでも好きなだけ電気を使い、電気を使えないこと(停電など)はとても稀です。東京の羽田から最終便の飛行機で宇部まで帰ることがありますが、窓から見る地上には、建物や街灯の明かりにより、地図を見ているように街の形がハッキリと浮かんできます。日本の夜はとても明るいのです。さて、日本ではこれらが当たり前のことで、電気が使えることに感謝する人は多くないでしょう。でも、これって日本以外の国でも常識なのでしょうか?答えはNOです。使える電気の量や時間帯に制限がある国もあれば、そもそも電気を使えない地域も想像している以上にたくさんあるのです。

それでは、世界中の人が、私たちと同じだけ電気を使うようになったら地球はどうなってしまうのでしょうか?あるいは、地球を守るために、いま世界で使われている電気の総量を増やさずに世界中の人で均等に割って使ったとしたらどれだけ不便な生活になるでしょうか?

生活を豊かに、でも地球に優しく電気を使うためには技術者が足りない?

電気は人々の生活や生産活動に欠かせないものになっています。そのため、地球に優しく、かつ豊かに暮らしていくためには、「①地球に優しく電気を作る(再生可能エネルギー)」ことと「②作った電気を無駄なく使うこと(省エネ機器)」が重要になるでしょう。これらの技術を継続的に進歩させ、自然エネルギーを作り、省エネ電気機器を生産し、膨大な電力網を維持管理するためには、とてもたくさんの電気系技術者が必要です。しかしながら、理系ばなれが叫ばれて久しくなりましたが、特に電気のエキスパートを目指す小中学生が少ないのが現状です。

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出前授業

そのため、小中学校への出前授業や各種イベントへの出展など、一人でも多くの子供たちに電気(あるいは工学)への興味を持って貰いたいと精力的に活動を行っています。

平成25年度からは電気学会の協力を得て夏休みに「親子理科教室」を開催し、毎年たくさんの小学生親子の参加を頂いています(是非、ご参加下さい!)。昨年は阿知須きらら浜で開催された世界スカウトジャンボリーにも出展し、日本を含め、たくさんの国の子供たちに参加してもらいました。

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親子理科教室

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世界スカウトジャンボリー

電気系の仕事の多くはどちらかと言えば地味で、縁の下の力持ち的なものです。しかし、電気の技術者がいなければ家で電気が使えないだけでなく、ビルや工場も機能しなくなってしまいます。そう考えると、やりがいのある仕事だと思いませんか?少しでも興味があれば、まずは宇部高専のオープンキャンパスや各種イベントに足を運んでみて下さい!

現在までの経歴

1999年 山口大学大学院理工学研究科博士後期課程 修了
1999年 山口大学工学部電気電子工学科 助手
2012年 宇部工業高等専門学校 電気工学科 准教授

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