独立行政法人国立高等専門学校機構 宇部工業高等専門学校

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目的別

浅村 岳さん

Gaku Asamura

浅村 岳さん


宇宙航空研究開発機構(JAXA)
第一宇宙技術部門
平成26年3月 制御情報工学科卒業

種子島宇宙センター 大型ロケット組立棟(VAB)の屋上から、
H-ⅡA・H-ⅡBロケットを打ち上げる吉信射点を望む。

現在の仕事

私は鹿児島県の離島にある種子島宇宙センターで、日本の基幹ロケット打上げ業務に携わっています。担当している業務は主に次の2つです。


ロケット打上げ作業の全体取りまとめ

ロケットを実際に打ち上げるのは民間企業です。JAXAはその中で「打上安全監理業務」といって、国として安全に関する責任を持つ立場にあります。私たちは民間企業と国との間に立って、技術的知見からスケジュール・予算の調整などを行っています。


宇宙センターの気象担当

ロケットの打上げには、気象状況が大きく影響します。天候の変化をいち早く把握するために、宇宙センターには自前の気象観測システムが設置されており、私はそれらの管理を担当しています。また、ロケットが飛翔時に風から受ける影響を最小限にするため、打上げの直前には飛行プログラムを更新するためのデータ取得を行います。

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、政府全体の宇宙航空開発利用を技術で支える中核的実施機関として位置付けられています。2003年に宇宙科学研究所(ISAS)、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙開発事業団(NASDA)の3機関が統合して誕生しました。ロケットなどの宇宙輸送システムの開発・運用、人工衛星による宇宙利用、また、宇宙科学や航空技術の分野においても、基礎研究から開発・利用に至るまでを一貫して担っています。

宇宙との出会い

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種子島宇宙センター 竹崎総合指令棟(RCC:ロケットの追跡管制の中枢施設)にある気象室にて。
背景に写っているのは、リアルタイムの気象衛星画像や気象レーダーエコー画像、気象観測装置の観測データ表示システム。

私と宇宙との出会いは幼稚園児の頃、星が大好きな祖母が買ってくれた宇宙の図鑑でした。中でも、ロケットや人工衛星のページは特に私の目を引き、未知の場所へ向かう機械への漠然とした憧れを抱きました。
その思いを決定付けたのが、小学2年生の時に観た『アポロ13』という映画でした。アメリカが人類初の有人月面着陸を実現したアポロ計画で、13号に起きた事故の実話を元にしたものです。私はこの映画で、宇宙飛行士たちを地上からサポートする管制官や、ロケットという乗り物が大好きになりました。
小学5年生の頃、当時発足したばかりのJAXAを、地元の科学館にあったパンフレットで初めて知りました。日本も宇宙開発をしていると知った時、「ここしか無い」と感じました。

将来に描く夢

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長期休暇で職場の同期と共に海外旅行へ。フィンランドの首都ヘルシンキにて。

現在は、ずっと夢だったロケットの打上げ業務に携わることができる喜びを感じつつ、多忙ながらも充実した毎日を過ごしています。特に入社1年目には、H-ⅡAロケットの打上げを5回も経験し、JAXAとしても1年度内での打上げ機数が過去最多となりました。日本で唯一の大型ロケット打上げ施設を持つ種子島への赴任期間中は、その恵まれた環境で新しい知識や技術を存分に身に付けたいと考えています。将来的にも、ロケット(宇宙輸送)に関する研究開発に貢献していくことが私の夢です。
また、学生時代に山口国体の広報ボランティアに参加したこともあり、子どもの教育活動には非常に関心があります。「宇宙教育」を通じて、未来ある子どもたちに夢を与えられるような、素敵な技術者になりたいと思っています。

宇部高専の制御情報工学科を選んだ理由

もともと理科や数学、技術科の授業が大好きでした。特に、電化製品や通信機器などの「脳みそ(コンピュータ)」や「仕組み(システム)」など、どちらかと言えば“目に見えないモノ”に興味がありました。
小学生の頃から通っていた「少年少女発明クラブ」というものづくり教室で、講師の先生の中に宇部高専のOBの方がいらっしゃったのも、受験を決めた一つのきっかけです。中学2年生になる頃には、ごく自然に進路が決まっていました。

宇部高専での経験

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一緒に学校行事を作り上げた学生会役員のメンバーと共に。

特に印象的だった「卒業研究」は、指導教員と一緒に設定した各自の課題に取り組む科目です。私は知的システム実験室に所属し、自らの強い希望で“人工衛星で取得したデータの画像処理”に関する研究をさせてもらいました。ここで学んだ「課題設定」から「実験」、「考察」、そして「改善」に至る一連のプロセスは、まさに研究開発の仕事で最も基本の動作になるということを実感しています。
学業以外では、4年次で経験した学生会活動が今に活きています。私は学生会組織全体を束ねる総務委員長として、とにかく前例のない新しい活動を次々に取り入れました。「学生会サポーター制度」の新設、献血やエコキャップ回収、選挙制度の見直しや部活動の支援などを進める上で培ったのは、やはり人との対話・調整能力でした。「学校と学生」を取り持つ仕事が「国と民間企業」に変わったところで、必要となるスキルは大して変わらないように感じます。

高専生活は一生の思い出

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高専5年次、陸上競技部のメンバーと最後の「高専大会」にて。涙の引退挨拶の後、とびきりの笑顔で集合写真。

5年間の高専生活で熱中したのは、部活動でした。入学直後から陸上競技部の長距離パートに初心者として入部しましたが、元々運動がそれほど得意ではなかった私はいつも仲間の背中を見ながら走っていました。
しかし足が速くなくてもチームの役に立ちたいと考え、部員同士の仲を深めるための合宿を計画してみたり、OBから資金を募るためにインターネットで情報発信をしたり、毎日「走ること以外」の分野に本気でした。そのうち先輩から「お前はチームの潤滑油だ」と言われ、いつの間にか副キャプテンになっていました。
結局5年間の部活で自身が華々しい記録を残すことはありませんでしたが、大好きなチームメイトたちのおかげで、私は今も市民ランナーです。引退試合となった「高専大会」で、同学年の仲間全員が泣きながら挨拶をしたのは、一生の思い出です。

未来の後輩たちに向けて

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5年間同じクラスだった制御情報工学科のメンバーと共に、卒業旅行で温泉旅館へ。

宇部高専には、あなたの夢を後押ししてくれる最適な環境が整っています。
私は5年制の一貫教育で、制御や情報の実践的な技術をみっちり学びました。学校に職員室はなく、教員はそれぞれ研究室を持っています。その扉を叩くといつでも、個性的で愉快な先生方が出迎えてくれます。
5年間という余裕のある時間で、部活動や趣味もまた充実することでしょう。
全ては「あなた次第」の宇部高専で、有意義な青春を過ごしてみませんか。素敵な同志たちと共に、夢を追いかけてみませんか。

現在までの経歴

2009年 防府市立 国府中学校 卒業
2009年 宇部工業高等専門学校 制御情報工学科 入学
2014年 宇部工業高等専門学校 制御情報工学科 卒業
2014年 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 入社
宇宙輸送ミッション本部 鹿児島宇宙センター 射場技術開発室
2015年 (現在) 国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門
鹿児島宇宙センター 射場技術開発ユニット(国立研究開発法人移行に伴う組織名称変更)

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