2023.03.27
宇部高専では選択授業として地域課題解決型PBL「地域教育」を開講しています。今年度受講した物質工学科3年の有間心吾さんと田中秀さんのチームが、宇部市の川上にある沢波川をよりホタルの住みやすい環境にするため、東片倉ミズベリング実施協議会が取り組む沢波川の活動に親父の会(川上地区)の皆さんと連携して川の水を浄化する取り組みを行いました。
水質調査から浄化の検証まで、物質工学科ならではの研究を実際に行うことができたのでとても良い経験となりました。
活動の経緯
沢波川にはもともと蛍が生息しており、6月頃になるときれいに光りながら川を飛び交っていました。しかし、山口県で蛍が有名である下関市の菊川地域や一の坂川(山口市)と比べると蛍の生息数に大きな差があります。そこで菊川地域と一の坂川との水質を比較したところ、透明度が沢波川のほうが低いことが確認できました。
沢波川の水質改善活動
浄水装置(金網部分)と沢波川の分流 |
環境への影響を抑えるため、沢波川に実験用の分流を作り、実験をしています。
まず、6月~9月にかけて、分流となる土手の草刈り等の整備をしました。その後、10月~11月にかけて、実験用の分流を掘り、12月18日に、完成した分流内に浄化装置を設置しました。
浄化装置には、浄水効果はもちろんのこと、蛍の餌を集める効果が期待できる石灰石をかごに入れました。
今後の予定
親父の会の方たちとの話し合いの様子 |
実験の様子 |
令和5年3月に浄化装置の状態を確認し、調整と整備を行います。そして、6月に蛍の生息数を調査する予定としています。学生たちも蛍が飛び交う様子を見ることを楽しみにしています。
商品開発を終えて
有間心吾さん(物質工学科3年)
物質工学科であることを生かし地域の環境のためになることをしたいと思い、この活動をやろうと思いました。課題を見つけるところから解決法を考えそれを実行するところまで行うというのは初めての体験であり、とても大変でした。ですが、実際に現場に行き、自分たちが考えた施策を協力してもらいながら実行した時にはとても達成感を感じました。これからは、地域の環境のためになっているというのを数値など目に見える形で確認できればよりいいなと思っています。
田中秀さん(物質工学科3年)
活動を始めたときはわからないことがたくさんあり、自分たちにこのような活動ができるのかすごく不安でした。ですが、親父の会の皆さんは僕たちの施策をしっかり聞いてくださりたくさんのアドバイスも貰いました。親父の会の皆さんの協力もありなんとか施策実行まですることができてよかったです。この施策がうまくいき、来年度の沢波川にホタルが多く確認できたらいいなと思います。
地域課題解決型PBL(Problem/Project Based Learning)「地域教育」とは?
宇部高専では、2017年度よりエンジニアリングデザイン能力醸成,課題発見能力育成および数多くのイノベーション創出を目的とした地域課題解決型PBL「地域教育」を開講、今年で6年目になります。課題を与える(選択する)のではなく、自らが課題を発見するところから取り組み、提案に留まらず年間を通じて実践活動することで、今、社会が求めている「待ちではなく、自ら考え、提案、行動できる人材」を育成するアクティブラーニング型の授業を展開しています。