2023.03.23
宇部高専では選択授業として地域課題解決型PBL「地域教育」を開講しています。 今年度受講した山田いぶきさん(電気工学科3年)と山下華央さん(物質工学科2年)のチームが、宇部市の温泉施設「楠こもれびの郷」と下関市の「下関南総合支援学校」と連携して、視覚障がい者の方に観光を楽しんでもらうための“点字の施設パンフレット”とお土産としての“切り絵の栞”を開発しました。
取り組みの経緯
主に目の不自由な方が利用している「点字」は、街中では最低限しか見かけません。
私たち晴眼者は視覚から8割の情報を仕入れ、視覚で目の前の景色を楽しめます。一方、目の不自由な方は周辺の景色だけではなく、訪れた施設の配置や機能も分からず不安なまま施設を利用しなければなりません。そこで、宇部市の施設を目の不自由な方が今よりもっと楽しめる場所にしたいと考え、「楠こもれびの郷」の魅力を点字で伝えるパンフレットの製作に取り組みました。
点字タイピングしたパンフレットの見本 |
切り絵の栞① |
切り絵の栞② |
当初は、三つ折りのリーフレットを作成し配布する予定でしたが、点字に変換したときの文字数や費用などの面を考え、パンフレットに変更し配布ではなく配置することにしました。「楠こもれびの郷」への配置は、3月の上旬を予定しています。パンフレットは、現地でしか触れませんが、切り絵の栞はお土産として持ち帰りが可能です。
実際に点字に触れてみて
山田いぶきさん(電気工学科3年)
私たち晴眼者は目の前の景色を素直に楽しめますが、目の不自由な方はそうではないということが、今回の活動を通して分かりました。文章で情報を判断することがほとんどであるため、簡潔に分かりやすい文にすることに努めました。今回の活動についてより多くの人に認知していただき、少しでも多く点字使用の施設が増えればいいなと思っています。
山下華央さん(物質工学科2年)
私はこの活動の中で身の周りには目で見て得る情報は多いものの、点字のように触れて得る情報が少ないことに気が付きました。点字パンフレットの製作では、施設のイメージができる表現の仕方、どのようにして「こもれびの郷」の魅力を発信できるかを考え、実行することができました。多くの方に「こもれびの郷」を訪れていただき、パンフレットに触れ、そして切り絵の栞を手に取ってほしいと思っています。
地域課題解決型PBL(Problem/Project Based Learning)「地域教育」とは?
宇部高専では、2017年度よりエンジニアリングデザイン能力醸成、課題発見能力育成および数多くのイノベーション創出を目的とした地域課題解決型PBL「地域教育」を開講し、今年で6年目になります。課題を与える(選択する)のではなく、自らが課題を発見するところから取り組み、年間を通じて実職活動することで、今、社会が求めている「待ちではなく、自ら考え、提案、行動できる人材」を育成するアクティブラーニング型の授業です。