独立行政法人国立高等専門学校機構 宇部工業高等専門学校

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目的別

vol.4 山﨑 博人 教授

Hirohito Yamasaki

vol.4 山﨑 博人


物質工学科 教授

 

 

学位 博士(工学)
専門分野 高分子化学 環境材料

地域企業の課題解決を軸にした研究開発

夢見る高分子屋

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専攻科棟4Fバルコニーから見える夕焼け

宇部高専の敷地の南西の端に位置する専攻科棟4Fに私のラボはあります。毎朝、宇部市街を一望できる素晴らしいロケーションが出迎えてくれ、気分良く一日の校務がスタートできます。そして、晴れた日の夕方、バルコニーから見渡せる素晴らしい夕焼けが、一日の疲れを癒やしてくれる抜群の環境下に居ます。

私は大学生時代、“高分子化学”という学問と出会い、その魅力に引かれました。講義の中で、高分子化合物(ポリマー、あるいは樹脂とも言う)は、軽量、良加工性、そして耐腐食に優れることから、生活必需品から自動車などの産業界に至るまで、あらゆる場面で材料として広く活用されていることを知り得たことが驚きでした。そして何より、新素材や機能性高分子といった言葉がトレンドの時代だったので、私もご多分に漏れず(?)、『新たな機能をもったポリマーをこの手で、作り出せるのでは?!』と“夢見る高分子屋”を目指し、卒業研究では高分子合成が研究できる研究室を選びました。

ポリマーは有機化合物の一種で、炭素原子が数千〜数十万個も共有結合を介して連なった、巨大な分子量をもつ化合物です。そしてこの長い炭素鎖は、「繰り返し単位」と呼ばれる構成成分が連なってできています。低分子の有機化合物は、化合物毎に分子量が決まっていて、個々に性質が定まります。一方、人工的に合成されるポリマーは、重合と呼ばれる合成法によって「繰り返し単位」を連結して得られます。この連結数は一定でなく、ポリマーの性状は大小さまざまな分子量をもつ混合物となります。そのため、重合時に用いる触媒の種類、あるいは反応温度や時間を少し変えるだけで、分子量の混合状態が変化し、異なった性質をもつポリマーとなります。従って、新規な「繰り返し単位」、新しい重合方法、あるいはポリマーの新しい性質を見つけ出すことに、この分野の研究への醍醐味があると私は思います。

また、私は学生時代、大学を移ったため、学部生、大学院修士そして、大学院博士課程ごとに、研究室を移動しました。その都度、新しい「繰り返し単位」の合成や、ポリマーの重合、そしてその評価方法を一から学び、限られた時間内で研究成果をまとめることは、当時、とても大変でした。しかし、結果的に高分子合成に関する幅広い知識や技術に関する研究シーズを習得する好機となり、今振り返ると貴重な経験ができたと感じます。更に、最初の就職先の県立工業技術センターでは、地域企業の課題対応と電子顕微鏡操作のスキルを身に付けることもできました。

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さて、宇部高専着任後、大学の恩師から「工学とは、社会に役立てられるものをつくること」と教えられたので、これが実現できればと思っていました。また、所属する学科の先輩教授から「企業から受けたテーマは、どんな内容であっても誠意をもって取り組みなさい。そうすれば、信頼関係が築けます」との心得を伺っていました。そのため、どんな些細な課題も、あるいは高分子合成から極端に逸脱した課題内容であっても、オファーが企業からあれば快く応じ、真摯に取り組みました。 その甲斐あってか、これまでに地域企業から数々の課題解決の要望を承り、共同で解決する多数の機会がもてました。その中から、ここでは「古くて新しいフェノール樹脂を用いた先端材料の開発」と、「シクロデキストリンを用いた環境共生型材料の開発」の2点を紹介します。

【次ページ】古くて新しいフェノール樹脂を用いた先端材料の開発

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