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杉本信行名誉教授が山口県産業技術振興奨励賞知事特別賞を受賞

NEWS

2016.04.13

3月25日(金)、山口県庁にて、第7回山口県産業技術振興奨励賞の表彰式が行われ、宇部高専の杉本信行名誉教授に知事特別賞が授与されました。

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村岡山口県知事(左)と杉本宇部高専名誉教授(右)

山口県産業技術振興奨励賞は、優れた技術を基にした事業活動により県内産業振興への貢献が認められる中小企業等に贈られるもので、知事賞を受賞した株式会社サンポリと共同研究を行っていた杉本名誉教授が開発に貢献したとして、今回の賞が贈られました。

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村岡知事より表彰状が授与されました

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受賞者で記念撮影

株式会社サンポリと杉本名誉教授が開発した、イチゴ高設栽培システム「らくラック」は、従来、屈んだ姿勢で行われていた作業を立ったまま出来るよう設計し、作業者の負担を軽減するとともに、主要部材に再生プラスチックを用いて軽量で耐久性のあるものに開発しました。

受賞概要:イチゴ高設栽培システム「らくラック」の開発 pdf

なお、今回の受賞に関して、宇部日報に記事が掲載されましたのでご紹介します。

宇部日報 新聞記事 pdf

杉本信行名誉教授のコメント

3月の初旬、山口県庁の担当者様から突然電話をいただき、この度の受賞のことを聞かされたときはびっくりしました。名誉ある賞をいただき、大変感激しております。

(株)サンポリ(現T&B会員)との出会いは宇部高専へ技術相談に来られた平成16年のことで、それをきっかけに同年“低コスト・環境負荷軽減型イチゴ移動式高設栽培システムの開発”という研究題目で共同研究を始めました。この研究の概要は、これまで温室内の地面に固定して使用される高設イチゴ栽培用ベンチを根本的に見直し、1列あたりの長さが40m程度ある栽培用ベンチを図書館の移動書庫のように移動可能な構造にすることで人間の作業道を1本のみにし、温室内という限られた栽培面積から従来の2倍程度のイチゴ収穫を目指そうとするものでした。私が依頼を受けた内容は、この移動式栽培ベンチの構造設計と強度計算、使用材料の選定でした。

この設計をもとに、プロトタイプの移動式イチゴ栽培ベンチが完成し、(株)サンポリの敷地内で実際に可動試験を行いました。幅60cm、高さ100cm、長さ40mのベンチが本当に横歩きできるのか、最初は半信半疑でしたが、移動用ハンドルを回すとレールの上を滑らかに移動を始めたときの感激は、今でも鮮明に覚えております。その後、このベンチを8~9列に増やし、山口県農林総合技術センターの試験用温室で収穫量や省エネ度等の実証試験が行われました。

私にとっては現役最後の年度となる平成26年度には、国からの支援をもとに山口県農林総合技術センター、(株)サンポリをはじめとする企業3社、宇部高専(杉本)がコンソーシアムを立ち上げ、“栽培施設リノベーションと6次産業化による攻めのイチゴ生産実証”というテーマにそれぞれの立場で取り組みました。

農業と工学、一見疎遠のように思われますが、今後新しい農業を展開しようとするとき、工学を必要とする場面が出てくることでしょう。何はともあれ、このような研究環境を与えていただいた宇部高専、そして多くの皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。


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