独立行政法人国立高等専門学校機構 宇部工業高等専門学校

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vol.25 鶸田拓也

エンジニアとして日本で仕事していくために

ナンヤンポリテクニック

生産システム工学専攻1年 鶸田 拓也
留学期間:2024年8月19日~2024年9月26日

私は、シンガポールの4年制高等教育機関であるナンヤンポリテクニックにて1か月生活しながらディジタルシステムの開発を行いました。現地では9時から18時まで学校の研究室でプロジェクトに取り組み、休日はシンガポールのいろいろな観光スポットを巡りました。

私は現在、神経細胞(ニューロン)のふるまいを模したコンピュータの研究に取り組んでおり、去年からディジタルシステムの勉強をしています。そのため今回の研修ではディジタルシステム設計に関するテーマを選びました。将来は日本で所有者自身による修理を身近にすることが目標です。たとえばオランダにある会社はスマートフォンをモジュール化し、故障したパーツだけ交換することで何年も使い続けられる製品を販売しています。日本ではまだまだそのような取り組みが活発ではありません。もはや資源や地球汚染の面から使い捨てを続けていくことに限界があり、このように修理をして長く使い続けられるデバイスに転換していく必要があるだろうと考えています。

エンジニアとして日本で仕事していくにあたって、私の分野では、国外のエンジニアと会話する場面が出てくるはずです。そのため、どこかのタイミングで留学し対面での会話に慣れておくべきだと考えていました。またシンガポールはテック系の会社が世界から集まり、技術力の高い国だとよく聞いていました。著名なハードウェアエンジニアもシンガポールに移住したと聞き、シンガポールには好感を抱いていました。

キャンパスはとても広いです

ナンヤンポリテクニックには非常に多様な設備が揃っており、特に最初に入った棟にはアマゾンの出荷工場で使用するようなコンベアが10m四方ぐらいの大きさで部屋に置かれていたのを見て啞然としました。ロボットを研究するところでは半人型ロボットが何台も用意されており、この上ないほど研究に適した環境でした。
私のプロジェクトは5週間で完成させなければならなかったのでじっくり勉強する余裕がなく、実験を繰り返しインターネットで調べながら設計方法を学びました。1つのことだけを毎日考えて作業に没頭するという経験が新鮮でした。

電子工作パーツが集う秋葉原のような場所にも行きました。ショッピングモールのような建物の中に1階から最上階までびっしりとパーツショップが並んでいて、シンガポールのハッカーコミュニティの根強さを感じました。またThrift(中古品のリサイクル)ショップを発見しました。2000年代のデジカメを修理して販売している団体で、この国の修理の文化を垣間見ることができました。

研究の風景

シンガポールでの生活は、様々な気づきを与えてくれました。
シンガポールは、多民族国家なこともあり、中華系やインド系、マレー系の方々もいました。学生や先生、食堂のスタッフなど色々な出身の人たちと英語を使って意思疎通できたのは本当に良い経験でした。

研修前は現地の人々とどう接すればいいのかと心配していましたが、学校内では多種多様な人生経験を持つ人と話すことができ、そこから今の自分の行動を客観的に評価することができました。研修前は、ハードウェアを学ぶならば学生の間に海外留学するしかないと思っていましたが、そこから、ただ突き進むだけではなく、より現実的に可能なことを目標にする、今後数年間で何を経験してどの仕事を目指すなど視野を広げものごとを考えられるようになりました。

成果報告会後の記念写真

他にもここに書ききれないほどの楽しい経験をしました。いろいろ苦い思い出もありますが、研修に参加したことで得られた報酬のほうが断然大きいです。今回このような体験ができたことをうれしく思います。

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