本日、宇部工業高等専門学校の卒業ならびに修了を迎える本科生203名、専攻科生32名の皆さん、おめでとうございます。
日頃より本校の教育研究活動へのご理解とご支援を賜っているご来賓の皆様のご臨席を仰ぎ、令和6年度宇部工業高等専門学校卒業証書・修了証書授与式を挙行できますことは、私たち教職員一同にとりましても、心から喜びとするところでございます。
卒業ならびに修了を迎えた皆さんに心からお祝いを述べます。また、ご臨席の保護者の皆様方には、これまでの長きにわたるご支援に敬意を表するとともに、心よりお慶び申し上げます。
宇部高専は,国立高専の1期校の一つとして、今から62年前に創設され、これまでに9,000人超える卒業生を社会に送り出してきました。就職・進学先の企業や大学からは高い評価を受けており、多くの優れた卒業生が日本のみならず世界を舞台に活躍しています。
多くの卒業生が活躍している原動力は,理論と実験・実習を有機的に学習しているためと考えています。高専では5年間もしくは7年間かけて、座学だけでなく実験・実習にも多くの学習時間をかけています。また、課題やレポートの多さに悩まされた方も多いと思いますが、このような日々の鍛錬によって、学習内容を体得できていると考えられます。
さらに宇部高専では、地域学習やプロジェクト学習に多くの学習時間を当てています。このようなカリキュラムは高専の中でも先進的なものです。皆さんの小さな気づきが社会をほんの少し良くできた、もしくは良くできるかもしれないと感じた方も多いのではないでしょうか? エンジニアには、無限の可能性があります。これからも身の回りの人が幸せ、便利になるように心がけ、気づきを大切にしてください。
皆さんは、入学時からコロナ禍の影響で、様々な場面で制約を受け大変な経験をされたと思います。コロナ禍の制約の大きい状況においても学業を全うし卒業の日を迎えられたことに対し敬意を表します。また、このような状況でも果敢に海外研修や国際交流にチャレンジした方も多いと思います。苦難を乗り越えた皆さんはこれまでよりも人にやさしくなり、本校の教育理念の温かい人間性と豊かな国際性を備えられていると思います。
留学生の皆さんは、遠く祖国を離れ、異なる言語、文化、習慣の壁を克服し、宇部高専での学びを貫徹されました。これまでの皆さんの努力に深く敬意を表します。多くの学生たちと交流してくれたことに感謝します。これからも友人たちと連絡を取り合ってください。本校で身につけた知識や技術を母国の発展のために大いに役立ててください。さらに母国と日本との友好の架け橋となることを期待しております。
また、デジタル技術を活用した工夫であるデジタルトランスフォーメーション DXマインドもエンジニアにとって必須のものとなっています。本校では、皆さんの在学中にも数理・データサイエンス・AI関連のカリキュラムを充実させています。理論と実験・実習に裏付けされた専門に加えて、多様な価値を認めあうグローバルマインド、デジタルを活用した工夫を意識したDXマインドを持って、今後とも活躍してくれることを期待しています。
皆さんは今後、仕事や研究に携わる中で、壁に突き当たることや挫けそうになることもあるかもしれません。これは誰もが経験するあたりまえのことです。そのようなときは、いろいろな人に相談したり頼ることをためらわないでください。また、失敗したときや状況が悪いときはすぐに報告するようにしてください。報告が遅れるほど対応が遅れ致命的になるためです。大切なことは、自分一人で悩まないことです。周りの人に助けを求めることをためらわないでください。
宇部高専は、これからも皆さんを見守り続けます。
終わりにあたって、ご来賓の皆様に重ねて厚くお礼申し上げますとともに、今後とも本校卒業生・修了生の前途を温かく見守っていただき、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
令和7年3月21日
宇部工業高等専門学校 校長 金寺登